不妊とは
1年間の避妊をしない性交渉を行っても妊娠成立を見ない場合を「不妊」といいます。
不妊の原因
女性側の不妊の原因としては排卵障害・卵管通過障害・黄体機能不全・子宮頸管通過障害・子宮内膜症・子宮筋腫などが挙げられます。
男性側の不妊の理由は、精索静脈瘤などが要因による精子の量・運動率の低下・奇形率の増加などが考えられます。このように、男女ともに様々な不妊の原因があるので一つ一つチェックしていかなければならないでしょう。
1年間タイミングを合わせているのに妊娠しなければ念のため、病院での不妊検査を受診しておいたほうが良いと思われます。またその時は、基礎体温をつけて持参するとスムーズに検査が進みます。
ちなみに基礎体温とは、体の動きが最も安静な状態にあるときの体温のことです。その条件をもっとも満たすのは、早朝定時で目を覚ましたときに、動かずにそのままの状態で測った体温です。
卵巣と卵胞
卵巣にはたくさんの卵胞がありますが、そのうちの選ばれた1つの卵胞から毎月1回排卵が起きています。
卵胞(原始卵胞)は日々作られるものではなく、生まれた時から数が決まっているとされています。生まれたときには約200万個の原始卵胞があり、その数は年齢と共に減少します。そしてすべての原始卵胞がなくなったとき、女性は閉経を迎えます。
原始卵胞は1回の月経周期(約28日間)で、1000個ほど消費されます。この中の10~20個ほどが排卵に向かって成長し、残りは生理周期に関係なく自然消滅されます。
そして、選ばれた1つの卵胞が大きく成長し排卵が起きますが、生涯女性が排卵する卵子の数は400~500個ほどといわれています。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査
AMHは成長過程の卵胞から分泌されます。よって、数値が高ければ成長過程の卵胞が多いことを、数値が低ければ成長過程の卵胞が少ないことを示します。成長過程の卵胞は成長前の卵胞の数(原始卵胞)に比例するとされ、これは年齢に比例します。よってAMHは「卵巣年齢」を知る指標にもなります。
ただ現在残っている卵胞の量を見ているだけで、その卵胞の質や卵巣の機能を評価しているわけではありません。卵胞は脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)により成長し、排卵が起きます。
よって、AMHが十分でも脳下垂体からFSHやLHがきちんと分泌されていないと卵胞の成長・排卵は起きません。また、AMHの数値が低値だとしてもFSHやLHに卵胞(卵巣)が反応していれば成長し排卵は起きますし、AMHの数値が十分だとしてもFSHやLHに卵胞(卵巣)が反応しなければ十分に成長せず排卵も起きません。
検査のポイント
AMHが高値であることも単純に良いことだとはいえません。多嚢胞性卵巣症候群といい、卵巣の膜が固くなることで上手く排卵ができず卵巣に卵胞がいくつもできてしまう病気があります。いくつも卵胞ができればAMHも高値となってしまうのです。
AMHの値だけみるのではなく、脳下垂体やそれに対応する卵巣機能・卵胞の質を総合的にみることが大切です。AMH検査とは、このように総合的に卵巣の状態を判断できる方法の1つなのです。
不妊検査の費用
検査内容 | AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査 |
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検査費用 | 8,400円(税込) |
※保険適用されないため、全額自己負担です。
※相談料・処置料が別途かかります。
初回:3,200円(税込) 2回目以降:1,200円(税込)
注意点
当院は予約制です。
不妊検査は採血検査のみです。結果が出るまで約2~3週間ほどかかります。
AMHは月経周期に関係なく一定の数値であるとされ、いつでも不妊検査が可能です。ただ文献によってはホルモン変動の可能性があるため、生理3~5日目の検査をお勧めいたします。
低用量ピルは卵胞の成長を抑える作用があるため、服用中の方は数値が実際より低値となる可能性が考えられます。
不妊相談・不妊検査は当院へ
当クリニックでは不妊に関するお悩みや、ご相談を受け付けております。(タイミング法などの簡易検査のみになります)