市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック

HPV検査(ワクチン接種)HPV INSPECTION

目次


このページについて

このページはヒトパピローマウイルス(HPV)の検査やHPVワクチン接種に関してご案内するページです。

子宮頸がんの検査とワクチン

HPVとはヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)の略で、子宮頸がんは性交渉の際に粘膜についた傷からHPVが感染し、細胞レベルで増殖することで、異形成から最終的に癌になる病気です。この仕組みは研究によって解明されています。

しかし、現時点では若年齢層を中心に急増しており、当院でも初期の段階の方が沢山見つかっています。大事なのは、性交渉経験を持った全ての女性が罹患する可能性があることを自覚することです。定期検診だけでなく、まだ性交渉経験の無い方や、今後新たな性接触の可能性のある方が、積極的にHPVワクチンの接種をすることが大切です。特に26歳以下の方はガイドラインでも積極的に推奨されています。27歳以上45歳以下の方は、希望があれば接種が可能です。

HPVワクチン

子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの持続的感染が原因であることが1983年ツアハウゼン博士により発見されました。しかし、HPVは子宮頸部に感染しても、血液中に入ることが無いため、感染防御の要となる液性免疫(抗体)を自然には得ることができません。

そのため、HPVを一度排除しても繰り返し感染することがあります。その後の分子生物学・遺伝子工学の大変な進歩によりHPVの感染を予防するワクチンが開発されるに至りました。そして、ワクチンでHPVの感染を防ぐことにより、子宮頸がんは「予防することができる」時代になりました。

日本ではHPV16/18型は子宮頸がんの発症原因の約65%を占めており、特に20代では90%、30代では75.9%になります。更に「シルガード9」が予防する5つの型も含めると発症原因の約88.2%もの割合となります。一方、両ワクチン共通の低リスク型であるHPV6/11型は尖圭コンジローマ(性器イボ)の発症原因の約90%を占めています。HPVワクチンは、子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマといったHPV疾患を幅広く予防します。

当グループは自治体子宮頸がんワクチン助成制度の対象(東京23区の接種券)です。

当クリニックで扱うHPV(子宮頸がん)ワクチンの種類

01 ガーダシル

ヒトパピローマウイルス(HumanPapillomavirus:HPV)の6/11/16/18型の4つの型の感染を予防する4価のHPVワクチンです。

02 シルガード9 NEW

ガーダシルの4つの型に加え、31/33/45/52/58の高リスク型も予防する9価のHPVワクチンです。

ご注意

  • 定期接種、キャッチアップ接種の方は必ず自治体の接種券をお持ちください。

HPV検査

HPV検査とはHPV感染の有無を調べる検査

子宮頸がんや子宮頸部異形成発症の原因となりうるのは、16型・18型をはじめとするハイリスクグループです。HPVは一般に性行為によって感染します。また皮膚や粘膜に感染し、体内に感染しないため免疫に記憶されず、一度感染し治癒しても何度も感染します。

ハイリスクグループ

16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、70型

ローリスクグループ

6型、11型、41型、42型、43型、44型

検査方法

現在、どの型のHPVに感染しているかを簡単な検査(タイピング検査)で調べることが可能です。感染している型が分かれば、今後子宮頸がんへ移行しやすいのかどうか調べることができます。


自宅でできる「HPV自己採取キット」もご用意

子宮頸がんは早期に発見することで今後の方針が大きく変わってきます。GYNメディカルグループではご自宅で手軽にトライできるHPV自己採取検査キットをご用意しています。

HPV(子宮頸がん)ワクチンのよくある質問

Q

HPVワクチンは誰でも接種することができますか?

A

9歳以上の方が対象です。


9歳以上が対象となります。ただし、妊娠中または妊娠の可能性がある女性は、妊娠が終了するまでワクチンの接種は延期となります。接種期間中に妊娠が発覚した場合も、その後の接種は一時停止となります。

Q

HPVワクチンは何回接種すればよいの?

A

14歳以下は2回、15歳以上は3回以上です。


本ワクチンの十分な効果を得るためには3回の接種が必要です。【接種スケジュール:初回接種➡2ヵ月後➡6ヵ月後】

Q

HPVワクチンを接種することで逆にがんが発生することはないの?

A

発がん性はありません。


最新の遺伝子工学の技術によりできた、中身の無い(感染に必要なHPVDNAゲノムが無い)、殻(カプシド)だけの偽ウイルス(VLP:viruslikeparticle)なので、発がん性はまったくありません。

Q

HPVワクチン接種の際に注意しなければいけないことは?

A

過度な運動以外には特にありません。


接種当日の入浴は問題ありません。接種後丸1日は、過度な運動は控えましょう。接種後は、接種部位を清潔に保ちましょう。接種後はアレルギー反応が出ることがあるので、接種後30分間はクリニックで様子を見ます。

Q

現在異形成で経過観察中ですが、HPVワクチンの効果はありますか?

A

効果が期待できます。


HPVワクチンはHPV感染予防のワクチンなので、異形成に対する治療効果はありません。しかし、異形成の原因が16/18型以外(シルガード9は31/33/45/52/58型も)のHPVであれば、子宮頸がん予防効果が期待できます。

Q

接種途中から別のワクチンに変更できますか?

A

可能ですが、有効性を評価した報告がありません。


他のHPVワクチンとの互換性に関する安全性・免疫原性・有効性の臨床効果を評価した報告はありません。可能な限り、同じ種類のワクチンを3回接種する事をお勧めします。

HPVワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~

平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性の中に、通常のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)の間に接種を逃した方がいらっしゃいます。まだ接種を受けていない方に、あらためて、HPVワクチンの接種の機会をご提供しています。

(※)詳しくは「HPVワクチンのキャッチアップ接種を希望される方へ」をご覧ください。


HPVワクチンのキャッチアップ接種の基本情報

接種の対象となる方

次の2つを満たす方が、あらためて接種の機会をご提供する対象となります。

  • 平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性(※1)
  • 過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない(※2)

※1:令和6年4月からは、平成19年度生まれ(誕生日が2007年4月2日~2008年4月1日)の方もキャッチアップ接種の対象になります。

※2:過去に接種したワクチンの情報(ワクチンの種類や接種時期)については、母子健康手帳や予防接種済証等でご確認ください。


接種が受けられる時期

接種の対象に該当する方は、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。


接種が受けられる時期

公費で接種できるHPVワクチンは3種類(サーバリックス、ガーダシル、シルガード9)あります。

決められた間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。


キャッチアップ接種を受けるには

接種を受けるための手続き

具体的な接種方法は、住民票のある市町村からお知らせが届きますので、そちらをご覧ください。

また、過去に受けた接種回数や時期により、接種方法が異なる場合があります。できるだけ母子健康手帳を確認・持参して、市町村や医療機関に相談してください。


予防接種健康被害救済制度について

極めてまれですが、予防接種を受けた方に重い健康被害が生じる場合があります。HPVワクチンに限らず、予防接種によって、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害が残るなどの健康被害が生じた場合は、申請し認定されると、法律に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

なお、現在の救済制度の内容については、「予防接種健康被害救済制度について」のページをご参照ください。


よくあるご質問

Q

なぜ、平成9年度~平成19年度生まれの女性に、あらためて接種の機会が設けられているのですか?

平成25(2013)年から令和3(2021)年の、HPVワクチンの接種を個別にお勧めする取組が差し控えられていた間(※)に、定期接種の対象であった方々の中には、HPVワクチンの公費での接種機会を逃した方がいらっしゃいます。こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)を超えて、あらためて公費での接種の機会をご提供しています。

対象は、平成9年度~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方です。令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。

(※)接種後に生じうる多様な症状等について十分に情報提供できない状況にあったことから、個別に接種をお勧めする取組を一時的に差し控えていました。令和3(2021)年11月の専門家の会議で、安全性について特段の懸念が認められないことがあらためて確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、個別に接種をお勧めする取組を再開することになりました。

Q

通常の定期接種の対象年齢(高校1年相当まで)を過ぎても、接種の効果はありますか?

16歳頃までに接種するのが最も効果が高いですが、それ以上の年齢で接種しても、ある程度の有効性があることが、国内外の研究で示されています(※)。

なお、定期接種の対象年齢を過ぎてからの接種について、明らかな安全性の懸念は示されていません。

また、子宮頸がんの予防のためには、子宮頸がん検診を定期的に受診することも大切です。検診を定期的に受けることで、がんの早期発見・早期治療につながります。さらに、HPV感染は主に性的接触により起こるため、パートナーとともに性感染症の予防も忘れずに行いましょう。

(※)ワクチンが子宮病変を予防する有効性は、おおむね16歳以下の接種で最も高いものの、20歳頃の初回接種まではある程度有効性が保たれることや、性交経験がない場合はそれ以上の年齢についても一定程度の有効性があることが示されています。性交経験によるHPV感染によって、ワクチンの予防効果が減少することが示されていますが、性交経験がある場合でも、ワクチンの予防効果がなくなってしまうわけではありません。

HPVワクチンの対象年齢を過ぎてからの接種の有効性などに関するエビデンスについて、以下をご参照ください。

第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料5-1「HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する有効性・安全性のエビデンスについて」

Q

キャッチアップ接種の対象者がHPVワクチンを接種するときに、保護者の同意は必要でしょうか?

予防接種法上、ワクチンの接種にあたって保護者の同意が必要となるのは16 歳未満の方です。そのため、キャッチアップ接種の対象者は、保護者の同意は不要となります。

Q

過去にHPVワクチンを1回または2回接種した場合にも、残りの回数を公費で受けられますか?

1回接種したことがある方は残り2回、2回接種したことがある方は残り1回、公費で接種を受けられます。過去にHPVワクチンを受けた時から時間が経過している場合でも、接種を初回からやり直す必要はなく、残りの回数の接種(2、3回目または3回目)を行ってください。なお、HPVワクチンは、原則、同じ種類のワクチンを用いて3回(※)接種することとなっています。

(※)シルガード9は、15歳未満の方は接種回数が異なります。

Q

過去に、2価ワクチン(サーバリックス)または4価ワクチン(ガーダシル)を1回または2回接種したのですが、9価ワクチン(シルガード9)を公費で受けられますか?

原則として同じ種類のワクチンを接種することをお勧めしますが、医師と相談のうえ、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます。この場合も、キャッチアップ接種として公費で受けることができます。

なお、サーバリックスまたはガーダシルで接種を開始し、定期接種としてシルガード9で接種を完了する場合は、シルガード9の接種方法にあわせ、1回目と2回目の間隔を1か月以上、2回目と3回目の間隔を3か月以上あけて接種します。

Q

予防接種を受けた後に体調が悪くなり、医療機関を受診しました。救済などはありますか?

HPVワクチンのキャッチアップ接種は、予防接種法に基づく接種になります。

HPVワクチンに限らず、接種によって、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害が残るなどの健康被害が生じた場合は、申請し認定されると、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)を受けられます。

給付申請を検討する場合には、診察した医師、保健所、お住まいの市町村の予防接種担当課へご相談ください。

※なお、救済に当たっては、その健康被害が予防接種によって引き起こされたものか、別の原因によって起こったものなのか、専門家からなる国の審査会で、因果関係についての審議が行われます。

※予防接種健康被害救済制度の詳細については、「予防接種健康被害救済制度について」をご覧ください。

HPVワクチン接種と子宮頸がん検査を検討している方へ

子宮頸がんはワクチンにより防ぐことができる唯一のがんです。性交渉の前のお子さんのワクチン接種を推奨いたします。定期的な検査も忘れないようにしましょう。

  • 9歳以上でのHPVワクチン接種を推奨
  • 性交渉を経験したら、年齢に関係なく定期的な検査は必ず必要
  • 産婦人科を受診できない方には自宅でHPVワクチンの検査が可能な自己採取検査キットもご用意

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